人工知能のミスは誰が責任を取るのか 急増するAIとの向き合い方

有料記事AIと私たち

聞き手・松浦新 松本真弥

 AI(人工知能)を搭載した製品が増えています。自動車や医療分野などでも活用され、暮らしが便利になっています。しかし、ミスや事故が起きた時の責任は誰がとるのでしょうか。医療や法律、哲学の専門家にAIとの向き合い方を聞きました。

最終的には人間の責任で判断 医師・ベンチャー経営者 多田智裕さん

 内視鏡の画像をチェックするAIを開発しています。2017年に会社を設立し、これまでに胃がんや大腸がん、ポリープなど、約20万本の内視鏡検査動画をAIに読み込ませてきました。

 開発のきっかけは、胃がん検診で見逃しを防ぐダブルチェックのために検査画像を見続けた経験でした。

 人間の医師と同じように診断すると誤解する人もいますが、AIは人が覚えきれないような膨大なデータと検査対象の画像を素早く照合しているだけです。

 よくできたAIは、専門医でも見逃すことがある早期の胃がんを見つけられますが、腫瘍(しゅよう)性ではないほかの病変には反応しません。ほかの病気を含め総合的に判定する点では専門医に勝てない。胃がんの可能性がある病変にカメラを向けると、AIが「95%」や「80%」といった確率を表示します。過去に覚えたデータにどれだけ似ているかを示しているだけで、実質は計算機と変わらないのです。

 アルゴリズム(計算手順)の開発には、データ収集が前提になります。7割が集めるデータで決まると言っても過言ではありません。

 「正しいデータ」を大量に集…

この記事は有料記事です。残り3642文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

この記事を書いた人
松浦新
経済部
専門・関心分野
不動産、IT、社会保障
新聞の親子読み 記事一覧はこちら

新聞の親子読み 記事一覧はこちら

朝日小学生新聞から、あわせて読んでほしい記事をお届けします。[もっと見る]