巡ってきた大役、読み返すA4ノート 常翔学園の女性監督が挑む花園
高橋健人
大阪市旭区。常翔学園高ラグビー部のグラウンドに、しとしとと小雨が降り始めた。
「(取材の)場所、変えましょっか?」
平池三記(みき)監督(53)に案内されたのは、部室に隣接した応接室だった。
話を聞き始めて15分が過ぎ、「選手との接し方」について質問をしたときだ。
平池監督の目からぽろぽろと涙がこぼれた。
「監督っていっても、もうほぼ監督不在と一緒」
「(主将の田中)景翔(けいと)はまだ17、18(歳)なのにね。100人近い子を束ねるのも大変なのに、この状態で束ねさせられて。大変やと思う」
「花園」で5度優勝し、96人が所属する部を9月から任されている。
創部85年で初の女性監督となった。
ラグビーの経験はない。
技術的なことは教えられない。
「私は何もしていないんです」
この特殊な人事にはわけがあった。
部員3人が7月の合宿中に宿…
【春トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら