第26回毎日が蜜、幸せって生活の中にある 吉本ばななさんの「よりどころ」

有料記事灯 わたしのよりどころ

聞き手 興野優平 近藤康太郎
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 ふるさと、家族、国、おカネ……。私たちは何をよりどころに生きるのでしょうか。家族や、国境を越えた旅、ふるさとをテーマにした多くの作品がある作家・吉本ばななさんに聞きました。

よしもと・ばなな 1964年、東京生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒業。87年『キッチン』で第6回海燕(かいえん)新人文学賞を受賞しデビュー。著作は30カ国以上で翻訳出版され国内外での受賞も多数。2022年「ミトンとふびん」で第58回谷崎潤一郎賞を受賞。近著に「吹上奇譚(きたん) 第四話 ミモザ」など。

 おカネはね、もちろん全くなければ困るけれど……。

 だけど、最近の若者を見ていると、それぞれのコミュニティーをよりどころにして、上手に暮らしていますよね。たとえばなにかお店を始めても、いろんな人に来てほしい、稼ぎたい、とはならない。SNSで書こうかと言っても「いやぁ、それは」なんて。宣伝さえ積極的ではない。それよりは気のあう知りあいに長く来てほしい、と。時代だなと思います。

 だいたい、小説だって売れなくなってきている。連載を本にしたいと版元に相談して、断られたことだってあります。いくら文学賞をとっても、海外で翻訳が出て評価されても、そうですよ。まあ、書く場所は必ずあるので、ほんとうに書きたいことだけを書いていくつもり。

 書くことがよりどころ、って…

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