文部科学省が26日に発表した調査で、2021年度に「心の病」で休職した公立学校の教員が過去最多になった。特に20代や30代の若手に目立つという。何が起きているのか。
関東地方の公立小学校に勤める30代前半の女性教諭は今年度、ある学年でクラス担任を務めてほしいと管理職から頼まれた。
この学年は以前から、暴力をふるう子や授業中に座っていられない子が少なくない。このため担当する教員が対応に苦慮してきた。体調を崩して休む教員もいた。
「学級崩壊させてしまったら……」
不安を感じたが、管理職から頭を下げられ、引き受けた。
まずは子どもとの信頼関係を築く。新年度が始まる際、そんな目標を立てた。プレッシャーを感じていた。
担任としての日々が始まった。子どもたちから目を離せばすぐ、けんかやトラブルが起きた。自分がいない間に何かあったら、と思うと、休み時間も教室を離れられなかった。昼休みも校庭などで見守った。
子どもがいる間はトイレに行くことや水分補給も我慢した。
子どもたちが下校すると、行事の準備や事務作業に追われた。長い会議もよくあった。午後7時ごろになってようやく、提出物のチェックや授業準備といった「自分の仕事」に取りかかれる。退勤は毎日、午後10時ごろになった。連日、在校時間は15時間ほどに上った。
注意して見守っていたからか、幸い大きなトラブルは起こらなかった。次は子ども同士の関係を深めてもらおうと考え始めた矢先、体に異変が起こり始めた。
「クラスよくしたい」意欲がわかない
胸が痛み、息が苦しい。帰宅途中、しゃがんで動けなくなることもあった。クラスをよくしたい、子どもを導きたい。そんな意欲も失われていた。
女性教諭は心身のバランスを崩し、休職せざるを得なくなります。なぜそこまで追い詰められたのか。女性教諭は、職場に欠けていたものがあったと語ります。記事後半では、ベテラン教員の思いも紹介します。
ある朝、いつものように支度…
- 【視点】
教職員のエンパワメントを目指す活動をするものとして、このような、情景が浮かぶエピソードベースの記事を書いてくださることをとてもありがたく思います。 別の記事のコメントにも書かせていただきましたが、以下のようなループをどう食い止めるか、メン
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