受け継いだ背番号「8」 福岡第一エース轟がかける思い 高校バスケ

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椎木慎太郎
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 背番号は早い者順で決まると知ったのは、体育館に着いた時だった。あこがれの背番号「8」はもう誰かに取られているかもしれない。

福岡第一(福岡市)は、バスケットボールの高校日本一を決める「ソフトバンク ウインターカップ2022」(第75回全国高校選手権)の優勝候補です。チームを引っ張るのはエース轟琉維(3年)。背番号に秘められた思いとは何でしょうか。

 2020年3月末、福岡第一の男子バスケットボール部への入部を希望する新1年生の選手らは、背番号を決めるため体育館に集められた。

 冬の2連覇へチームを導き、東海大学へと進んだ河村勇輝の背番号「8」は今、空いている。どうしてもその番号がほしかった。

 ドキドキしながら、シューズがキュッキュッと床にこすれる音が響く体育館へ入る。先輩たちが練習しているコートの脇を通り、コーチが待っている場所へ向かった。

 配られたメンバー表を見て、心臓が高鳴った。

 「8番 轟琉維」

 あこがれの番号の隣にあったのは、自分の名前だった。河村の後を継ぐのは轟しかいないと、井手口孝監督が後押ししてくれていたと後から知った。

 後日、ユニホームを受け取った。その場では喜びの気持ちを押し殺したが、寮に戻ってすぐに着替え、合わせ鏡の前に立った。「卒業までに必ず勇輝さんに追いつく」と誓った。

 小学生の頃、佐賀県鳥栖市のミニバスで活躍したあと、福岡の強豪中学でプレーした。2年生の頃、スマホで見ていた第71回全国高校バスケットボール選手権大会「ソフトバンク ウインターカップ(WC)2018」決勝で、ひときわ輝く選手を見つけた。誰よりも速くコートを駆け抜ける。高校生とは思えないパスやシュートは見ていて美しかった。実況が叫ぶ。

 「また河村です!」

 自分と同じくらい小柄な身長…

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