北陸新幹線の延伸、来年度当初着工を断念 知事ら厳しく批判

小田健司 山田健悟 佐藤常敬
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 またもや国に裏切られた――北陸新幹線を敦賀から新大阪まで延伸する計画で、国土交通省は14日、2023年度当初の着工を断念することを明らかにした。関係者からは厳しい批判の声が上がった。

 同日、与党の整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(PT)敦賀新大阪間整備委員会で、国交省が報告した。沿線の一部地域で環境アセスメントが進んでいないことが原因という。

 与党PTは20年12月、敦賀以西について、「23年度当初に着工するものとする」と決議した。着工断念をうけ、24年春の福井開業を控える福井県の杉本達治知事は「決議があるにもかかわらず、極めて遺憾だ」とのコメントを発表。「一日も早い全線開業に向けた今後の進め方を早急に示していただきたい」と求めた。

 石川県馳浩知事は、県庁で報道各社の取材に応じた。金沢―敦賀間の開業は当初、23年春の予定だったが、1年延期になったことも踏まえ、「国交省は一度ならず二度までも、私たち地元の要望と期待を裏切ったと断ぜざるを得ない」と批判した。

 その上で馳知事は「次善の策として、着工に匹敵するような予算措置を国交省に要望しなければいけない」と語った。

 北陸3県の知事らが参加する北陸新幹線建設促進同盟会などは15日に上京し、与党や国交省などに早期の全線開業に向けた要請活動を行う。計画の認可前に可能な事業を進めるよう求めるとみられる。

 敦賀以西は、小浜、京都を通ってのルート。小浜市の松崎晃治市長は「国は着工後の工期短縮を最大限図り、着工時期の見通しを早く示してほしい」と注文をつけた。

 経済効果を期待する経済団体からも、落胆の声が上がった。福井県経済団体連合会の八木誠一郎会長は、「環境アセスを丁寧かつ迅速に進め、最大限の工期短縮措置を講じながら、30年度末ごろまでの大阪開業をお願いしたい」と要請した。(小田健司、山田健悟、佐藤常敬)

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