世界中の美術館で名画にスープやオイルが投げつけられるなど、環境活動家らの抗議運動がエスカレートしている。政治的主張を世に知らしめるために、なぜ芸術作品が標的になるのか。美術館が抗議の場となるのはなぜなのか。現代美術と社会運動の関わりに詳しい、東京芸術大学の毛利嘉孝教授(社会学)に聞いた。

もうり・よしたか 専門はメディア/文化研究。著書に『バンクシー:アート・テロリスト』、『ストリートの思想』、『ポピュラー音楽と資本主義』など。

 ――英国の環境保護団体「ジャスト・ストップ・オイル(JSO)」のメンバー2人がゴッホの名画にトマトスープを投げつける動画がSNS上で拡散し、大きな話題を呼びました。美術館を舞台にした環境活動家らの抗議運動をどう見ていますか。

 そもそも美術館の中でゲリラ的にパフォーマンスを行う抗議活動は、急に現れたわけではなく、この10年ほどの間に欧州各地で見られた動きです。

 JSOについても以前から、美…

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