事業再生の「タニマチ」 ふくや、サンパレス再建に老舗菓子屋支援も
博多港に面する九州有数のコンサートホール福岡サンパレス。ジャニーズ系からキング・クリムゾンまで著名音楽家が公演するここの運営を、畑違いの明太子(めんたいこ)のふくやが引き受けたのは2004年からである。
明太子をつくった会社③
福岡土産といえば博多明太子。広く知られるようになって半世紀が経ちます。いまも地域とともに歩み続ける「ふくや」の物語を伝えます。
サンパレスは1981年に建設され、2300席のホールのほか、36室のホテルや宴会場が併設されている。厚生労働省所管の特殊法人と福岡市の財団法人が所有していたが赤字続き。厚労省の特殊法人が手を引き、市が委託できる民間を探していたところ、ふくやが手を挙げた。社長の川原武浩(51)によると「地元に音楽や演劇を楽しめる会場を維持したい」という地域振興の考えからだった。とはいえ、毎年1億5千万円の赤字を垂れ流し、職員は経営感覚がない。「ウチが頑張っても7千万円の赤字見通しでした」と川原は振り返る。
川原は2006年にサンパレスの経営企画室長に就き、企業会計や部門別会計を導入。その後サンパレス社長に就任した。ほぼ同時期に起用されたのが、「シーホーク」などダイエー系の4ホテルの経営に携わってきた現社長兼会長の中川百合雄(73)。中川は「ホテルは料理と設備とサービス」と言い、この3要素の充実に努めた。「まず料理でした」。腕利きの料理人をスカウトし、眺望のいい展望フロアにレストランを開設。内装もデザイナーに腕を振るわせた。ちょうど市や大学が国際会議や学会を誘致する波に乗り、黒字化→累損一掃→借入金全額返済と進んだ。中川の手腕があってのことだが、奇跡のような再建だった。
ふくやは13年、財政難のプ…