「ガラパゴス化」した新幹線が海を渡るには? 日本の強みを考える

有料記事リレーおぴにおん

聞き手 編集委員・吉岡桂子
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 日本の鉄道車両の開発は、どのような発展の道をたどったのでしょうか。鉄道業の歴史に詳しい東京大学社会科学研究所教授の中村尚史さんは、日本社会のニーズにあわせて技術を磨いた「新幹線」の「ガラパゴス化」を指摘します。その新幹線を始めとする鉄道車両の強みは何でしょうか。輸出に成功し、海を渡る秘訣(ひけつ)を聞きました。

リレーおぴにおん「鉄道150年」

 日本の鉄道車両の開発は、ダウンサイジングから始まりました。明治時代に日本がモデル車両を輸入したドイツは、標準軌(レール幅1435ミリ)。大きな機関車が平地を走ります。日本は狭軌(同1067ミリ)。しかも山がちで地盤は弱い。速さや牽引(けんいん)力より、小型・軽量化を追い求めました。

 欧米と同じ舞台で競い、世界一を目指したい――。鉄道技術者の夢でした。戦中、日本が侵略して鉄道を経営した中国などでは、念願の標準軌を敷き、自主開発した特急あじあを国内の列車より速く走らせました。

 その蓄積の結晶が、1964年の東京五輪とともに開業した新幹線です。高架で標準軌。当時世界最速の最高時速200キロ超を達成した。日本の技術陣はリベンジした思いがあったでしょう。ほんとうはできるんだ、と。

 その新幹線は今や、ガラパゴ…

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