古道トレイルラン里山感じて 息づく文化発信、移住の女性が大会計画
地元の人にも忘れられていた古道を見つけて整備し、新潟県十日町市でトレイルランニングの大会を開こうと、東京から移住した女性が準備を進めている。かつて人々の営みがあった古道の復活を通じ、里山での暮らしや文化を発信したいという。来年6月の開催に向け、必要な費用を賄うため、1日からクラウドファンディング(CF)を始める。
新坂(しんさか)志保里さん(35)は十日町市松代地区を担当する「地域おこし協力隊」だ。人と人をつないで課題解決のための仕組みをつくるコミュニティーデザインを実践したいと考え、昨年12月に東京を飛び出した。
地元の住民と話したり地域の行事に参加したりしているうち、利用されなくなり荒れ果てた古道が多く存在することを知った。田んぼがあった一帯のかつての農道、集落をつないだ道、尾根すじ……。なかには、石像が立っているのに住民ですら知らない道もあった。
「古道は使われていた当時の暮らしや文化が息づいている資産だ」と感じた。住民にその存在を改めて認識してもらい、地域外の人には里山での生活を感じてもらおうと、趣味のトレイルランニングのコースにすることを思いついた。
雪解けの春から山に入り、古い地図などを頼りに夏にかけて本格的に古道を探した。地図に載っていない道を見つけたり、逆に地滑りで崩れてなくなった道があったり。そんな古道の間を舗装された一般道などでつなぎ、松代地区の10の集落を結ぶ約30キロのコースを完成させた。
「越後まつだい春の陣」と銘打ち、来年6月4日の第1回開催を目指して実行委員会を立ち上げた。10月からはランニング仲間に呼びかけ、週末を中心に草刈りをするなどし、倒木や雑草で荒れたコースを整備。大会に賛同する東京の起業家や地元の観光事業者らも加わって準備に取り組み、開催にめどが立った。
しかし、冬になれば雪でまた木が倒れ、撤去が必要になる。投棄されたゴミの回収を業者に依頼するほか、川に簡易な橋をかけたり急斜面の場所に階段をつくったりしなければいけない。ボランティアの交通費や宿泊費もかかる。
そこで1日~来年1月29日、CFで40万円を目標に寄付を募ることにした。特産の棚田米や枝豆、大会ロゴのステッカーなどを返礼品にする。
大会では約30キロのコースと、2~3キロコースの子どもの部を予定。それぞれ約300人、100人の参加を見込む。「外国籍の人も多く参加する予定で、コミュニケーションをとれるよう地元の子どもたちに英語を教えている」と新坂さん。「大会をきっかけに、整備し直した古道を地元の人たちに知ってもらい、また使ってもらえるようにしたい」と話す。
CFは「にいがた、いっぽ」(https://n-ippo.en-jine.com/)から。大会のことも含めた詳細は新坂さん(070・3108・0507)へ。
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