「なんでこっちに」 富山県知事発言で揺れたチューリップテレビ番審
記者コラム「多事奏論」 田玉恵美
偏った報道に決して惑わされることなく県民にはご安心をいただきたい。富山県の新田八朗知事が8月25日の記者会見でこんな発言をした。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と知事との関係について精力的に取材・報道している地元のチューリップテレビに不満があるらしい。「印象操作をされるような映像を垂れ流し」ているとも批判している。
地元のガス会社の社長だった知事は、保守分裂となった2年前の選挙に初出馬し、現職を破った。その際、教団の友好団体「世界平和連合」から支援を受けたことを認めている。
今後は「コンプライアンス上の問題がある団体とは付き合わない」と語ったが「教団との関係を絶つか」と聞かれると、ストレートには答えず、「コンプライアンス上、問題がなくなればお付き合いするのになんの問題もないんじゃないですか。ただこれ以上、私の今の立場で宗教法人である旧統一教会さん、世界平和統一家庭連合についてものを言うと、これはもう政教分離の原則に反してしまいます」などと述べた。
そうした理屈が腑(ふ)に落ちないチューリップの記者が、視聴者から寄せられた声などを紹介しながら質問を重ね、10分ほど押し問答をするなかで出てきたのが、冒頭の知事の発言だった。
翌週、9月2日の会見でもチューリップ記者と知事との間でやりとりが続いたあと、記者は「公正な報道を心がけてきた」として、知事に「偏った報道」発言の撤回ないしは訂正を求めた。すると新田知事はこう返した。「水掛け論をしても意味がない」「番組審議会の方々の評価にさらされたらいかがか」
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