長崎県が川棚町に計画している石木ダムをめぐって、大石賢吾知事は24日、佐世保市内でダム建設に反対している四つの市民団体の関係者と面会した。面会後、大石知事は「(この日の面会で、ダム建設を進める)認識が変わるということではない」と明言した。

 市民団体側はこれまで大石知事との面会を求めてきた。一方、県側は、ダムの建設予定地周辺の住民らが県にダム関連工事の差し止めを求めた訴訟が係争中であることなどを理由に応じていなかった。最高裁が9月、住民側の上告を棄却。差し止めを認めなかった一、二審判決が確定した。

 この日の面会には、建設反対派の四つの市民団体の関係者らが出席。冒頭のみが公開され、その後の知事との具体的なやりとりは非公開とされた。

 約1時間の面会後、報道陣の取材に応じた大石知事は「これまでお断りしていたが、判決が確定したということで、状況が整ってお伺いした」と経緯を説明。市民団体側から、利水の観点からのダムの必要性を疑問視する見解が示されたが、知事は「事実の確認はさせていただくが、水は足りていないということで事業は進んでいる。その認識に変わりがあるわけではない」と強調した。

 一方、大石知事はこの日、佐世保市内での面会に先立ち、川棚町のダム建設予定地を「電撃訪問」したことを明らかにした。

 知事によると、もともと計画していたわけではなく、佐世保市へ移動する時間をやりくりし、「急きょごあいさつさせていただいた。(現地で座り込みを続ける反対派の住民が)いなくてもしょうがない、と思いながら道中で立ち寄った」と明かした。座り込みをしている住民数人とも言葉を交わしたといい、今後も、話し合いを続ける意向を伝えたという。(土居貴輝)

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