日本一長い鍾乳洞、長さ24キロ弱 ほふく前進で進んでみると

西晃奈
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 冷たく湿った鍾乳洞の壁をつたいながら、暗闇を進む。ヘッドライトを下に向けると、大人1人がほふく前進でギリギリ通れるほどの穴が見えた。近くの看板に目をやると、「あと5メートルで終点。汚れます。戻りますか?無理しないで!」。

 ここは、岩手県岩泉町の鍾乳洞「安家洞(あっかどう)」。総延長は秋芳洞山口県)の2倍超の23・7キロもあり、日本一の長さを誇る。1千カ所以上の分かれ道があり、日本でも数少ない迷宮型鍾乳洞。2億年以上前に地層がつくられたとされ、洞穴の生成発達過程が分かるなどの理由で、国の天然記念物に指定されている。

 鍾乳洞は民間会社の経営で、工藤榮吉社長(70)が妻と2人で運営する。立地する山は、工藤さんの兄が地主だ。

 2016年8月の台風10号では山の上から濁流が押し寄せ、洞内は水であふれかえった。入り口の8割が岩石で埋まり、工藤さんは再起をあきらめた。だが、ボランティアが何度もスコップを持って駆けつけ、2カ月で再開にこぎつけた。

 華美な電飾を施さず、元の状態を生かす。コウモリが目の高さにぶら下がっていたり、鍾乳石に「一角サイ」「魔神の手」と名付けられているのを面白がったりと、飽きることがない。

 観光洞エリアは500メートルまで。でも、予約さえすれば「地底ガイド」とさらに奥を探検できる。工藤さんは言った。「一歩入れば、子ども心がくすぐられる」

 現在は冬季休業中。雪解けした4月中旬に再開予定だ。春が待ち遠しい。(西晃奈)

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