「震災を知らない子どもに伝えたい」 被災した双子の語り部が絵本に

武井風花
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 岩手県の沿岸部で被災した双子が語り部を始めるまでの実話を元にした絵本が制作された。手がけたのは、宮城県七ケ浜町にある中学校の卒業生たち。紙芝居で語り部活動を続けていたが、コロナ禍で訪問が難しくなったため、絵本にまとめることにした。

 タイトルは「みゆうとゆうみ」。岩手県陸前高田市で被災し、津波で母と祖母を亡くした双子が、中学生になって語り部を始めるという実体験を元にしたストーリーだ。登場人物をおじから父親に変えたり、言葉遣いを簡単な表現に直したりして、子どもでも理解しやすいよう工夫した。

 七ケ浜町立向洋中学校出身の有志らでつくる語り部団体「きずなFプロジェクト」の活動の一環。絵本に登場する双子はFプロのメンバーだ。2019年から町内の幼稚園などで紙芝居を読み聞かせているが、コロナ禍で上演が難しい。そこで、子どもたちに自分で読んでもらおうと考えた。

 400部作成し、宮城県内の幼稚園や図書館などに配布している。代表の紀野国七海さん(20)は「絵本を通して、震災を知らない子どもたちにも当時のことを伝えていきたい」と話した。

 Fプロは26日午後2時から、町内の七ケ浜国際村ホールで「きずなFプロ&セニョ先生講演会」を開く。入場無料。絵本の元になった紙芝居の上演などがある。問い合わせは事務局(022・364・1061)。(武井風花)

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