ADHD、書字障害…… 日本の学校で拒絶された僕が海外大で学ぶ訳

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編集委員・宮坂麻子

 「海外に出て、日本って僕のような人間には生きにくい社会だと痛感しました」

 そう語るのは、オランダのフローニンゲン大学で物理学を学ぶ野中宏太郎さん(21)。日本では幼いころから問題児扱いされ、海外へ飛び出して学んだ。

 自閉スペクトラム症と注意欠陥・多動性障害(ADHD)、書字障害がある。生きづらさは、幼児のころから感じていた。

ふざけているわけではないのに…叱られる日々

 幼稚園の時だった。お遊戯で「カエルさんになって踊りましょう。川に落ちないように橋を渡ります」と先生に言われた。「嫌だ!」と泣き叫んで逃げ回り、大騒動になった。

 自閉スペクトラム症の特徴の一つに、額面通りに言葉を受け取ってしまうことがある。野中さんはこう思った。「自分は今から小さなカエルに変身させられる」「床に貼られたテープの『橋』の上を渡らせられ、落ちたら死んでしまう」――。

 恐怖を感じ、どうしても人間でいたくて、漁師の役がいいと言い続けた。「発達障害に理解のある先生で、『カエルさんのまねをして踊りましょう。床のテープはニセモノの橋です。その上を歩きましょう』と言ってくれていたら、たぶん騒動にはならなかった」と、言う。

 小学1年生の算数で、「リン…

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この記事を書いた人
宮坂麻子
編集委員|教育・こども担当
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教育・こども