環境活動家はなぜ名画を狙うのか 識者が語る「重要人物」と「資金」

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聞き手・高島曜介
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 ロンドンの美術館で今月14日、環境活動家がゴッホの絵画「ひまわり」にトマトスープをぶちまけ、世界中で話題になりました。その数日前にはオーストラリアの美術館で、環境活動家がピカソの絵のガラスカバーに手を接着させる騒ぎもありました。なぜ、こうした過激な行為が繰り返されるのか。環境問題をめぐる抗議活動に詳しい明星大の浜野喬士准教授に聞きました。

 ――「ひまわり」にトマトスープをかけた環境活動家の女性2人はどのような人たちなのでしょうか。

 ジャスト・ストップ・オイル(JSO)という団体に所属している20歳と21歳(いずれも事件当時)の女性です。この団体は、今年2月にできたばかりの英国の環境保護団体です。

 団体の活動歴は浅いですが、6月には同じくゴッホの「花咲く桃の木」の額縁に接着剤のついた手をつけたり、幹線道路やガソリンスタンドを封鎖したりする抗議活動を行い、これまでに数百人の逮捕者を出しながら存在感を強めています。

 ――どのような人たちで構成されている団体なのでしょうか。

 逮捕者をみると、20代の若い人たちが多いです。特に会費や細かい規則のない緩い組織で、参加したい人はオンライン会議に参加すると、抗議活動の内容を指示されるようです。少なくとも1千人以上はいるでしょう。

団体の実態は 逮捕者に五輪金メダリスト

 ――今回の事件の数日前には、オーストラリアのメルボルンの美術館で、展示中のピカソの絵画「朝鮮の虐殺」のガラスケースに手を接着させた環境保護活動家がいました。彼らは別の団体を名乗っていますが、JSOと関係があるのでしょうか。

環境活動家は様々な団体に所属しています。過激な行動をとると、処罰されるのでしょうか。若者たちの行動の背景に何があるのでしょうか。記事後半で説明します。

 同じく英国を拠点とするエク…

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