「労災はハードル高い」労基署で難色示され申請断念 3カ月後に自殺

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遠藤隆史
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 職場で横領を疑われて解雇され、うつ病の症状が出たとして労災申請を希望した男性に、鹿沼労働基準監督署栃木県鹿沼市)が申請書を渡さなかったことがわかった。男性は3カ月後に自殺。遺族は、労基署職員が男性に「(認定は)ハードルが高い」などと繰り返したことなどが労基署に求められる注意義務に違反したとして、国に330万円の損害賠償を求めて東京地裁に11日付で提訴した。

 遺族は男性の死後、改めて労災を申請。1年後に労災が認められた。

 同署を所管する栃木労働局は取材に「個別事案の回答は控える。訴訟については訴状が届いておらずコメントできない」と答えた。

 労災申請について、厚生労働省は2011年、労災認定の可能性が低いと説明するなどして「受け付けを拒むようなことは厳に慎む」と各労働局に通知。その後も繰り返しこの内容を通知しているほか、同省が定めた認定の実務要領にも「相談者に請求を諦めさせるものと受け取られるような発言は絶対に行わない」と明記している。

職員の言葉、妻が録音

 訴状などによると、鹿沼市の…

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