紀伊有田駅をキャンバスにした作品完成

勝部真一
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 「画家まつお」のアーティスト名で活動している和歌山市在住の松尾ゆめさん(36)が、2016年からJR紀伊有田駅(和歌山県串本町)で取り組んでいた作品が完成した。駅舎などをキャンバスに、アーティストとしてのあゆみとほぼ同じ年月を重ねた集大成。地域への思いも詰まっている。

 デザイン関係の仕事をしていた松尾さんが、「人からの依頼ではなく、自由に描きたい」と退職し、創作活動に専念したのは16年春だった。丸や曲線を中心に、自然などをモチーフにした色鮮やかな絵を描いてきた。

 紀伊有田駅での制作は、16年秋に開かれたJR紀勢線を舞台にした芸術イベント「紀の国トレイナート」がきっかけだった。駅舎やホームに、山や海などをモチーフに描いた。17、18、21年にも加筆。トレイナートは21年で終了したが、「まだ描きたいところがある」と、今年も9月の約1カ月間、制作に取り組み完成させた。

 魚の群れや星空などが青や白、黄などのペンキで描かれた駅舎やホームは異空間を感じさせる。写真撮影に訪れる人も増えてきているという。

 松尾さんは現在、駅に近い串本海中公園センターの館内ギャラリーで公開制作をしている。主な目的は、センターの水族館を訪れる人に、紀伊有田駅の作品を知ってもらうことだ。「活動を始めたころは絵が描けたらいいという強い気持ちだったけど、制作を重ねていくごとに地域の人に喜んでもらいたい、地域の魅力を伝えたいと思うようになった」と松尾さん。「この駅で多くを学ばせてもらった」

 公開制作は28日までで、毎週水曜日と22日は不在。ギャラリーで完成した作品は「串本海中公園×画家まつお展」として来年1月31日まで展示される。

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