「欧州の30年遅れ」だった鉄道自動運転 迫る変化、日本独自規格も

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鈴木智之

 自動運転といえば車――。のイメージが強いが、鉄道はもっと長い歴史を持っている。ここ数年で日本の鉄道の自動運転は、大きく変わりそうだ。少子高齢化に伴う労働力不足や乗客減少を背景に、相次いで試験運転が始まっている。既存の設備を生かして安価に実現できる、日本独自の規格も、導入に向けた検討が加速している。

 世界に先駆けて乗務員のいない「完全自動運転」を実用化させたのは、1981年に開業したポートライナー(神戸市)だ。ガラス張りのホームドアや壁で軌道とホームは完全に分離。安全を確保した造りになっている。神戸市中心部と神戸空港を結び、コロナ禍前は1日7万人以上が利用していた。

 鉄道の自動運転にはGoAという国際的な規格で五つの段階がある。ポートライナーやゆりかもめ(東京都)といった新交通システムで導入されている完全自動運転は4。0は路面電車、1は一般的な多くの鉄道が該当する。

 2は「半自動運転」。ボタン一つで自動的に動き出し、所定の位置に止まるシステムを使い、運転士によるワンマン運転として、地下鉄などで活用されている。3は運転免許を持たない係員が車両内にいる「添乗員付き自動運転」だ。国内ではモノレールのディズニーリゾートライン(千葉県浦安市)がある。

 ただ、国土交通省の「鉄道における自動運転技術検討会」で座長を務めた、古関隆章・東京大学教授(電気工学)は「新交通システムでは先頭を切ったが、今は欧州と比べると30年ほど遅れていると言われる」と話す。

記事の後半では、各鉄道会社の導入状況や、「ガラパゴスだけど意外にいけるかもしれない」日本独自の規格も紹介します。

 フランスでは80年代にレー…

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この記事を書いた人
鈴木智之
くらし科学医療部|大阪駐在
専門・関心分野
科学、交通、難病