家事・育児が妻に偏る理由 原因は男性の長時間労働…だけじゃない?

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田渕紫織
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 共働き夫婦の育児や家事の負担が妻に偏る現状は、なぜ解消されないのか――。5年前に「ワンオペ育児」という言葉を社会に広めた明治大の藤田結子教授(社会学)らの調査で、その一端が明らかになりました。夫の長時間労働が足かせになっているかと思いきや、それだけではない実態が見えてきたそうです。

 調査は、東京大の額賀美紗子教授とともに、保育園に子どもを通わせている母親たちを対象に、詳細なインタビューの形で行われました。

ワンオペ育児」藤田結子教授に聞く

 ――今回の調査結果で、意外な点はありましたか。

 2016年に調査を始めたのですが、「女性活躍」や「イクメン」のスローガンが盛り上がっていたので、男性はもう少し育児や家事をやっているかと思ったら、予想以上にやっていませんでした。調査した大半の世帯では今も妻の「ワンオペ」状態でした。

 今回の私たちの調査対象者は55人なので、これだけをもって一般化することはできませんが、国が先日発表した調査でも、6歳未満の子を持つ共働き夫婦の場合、1日の家事関連時間は、妻は6時間33分の一方、夫は1時間55分という結果が出ています。

 ――妻の「ワンオペ育児」の背景としては、夫の長時間労働がよく指摘されます。

 帰宅が遅ければ、できる育児はそう多くないですし、休日に子どもと遊ぶことはしていても、日常的な家事や育児のルーティンは妻に偏りがちです。長時間労働は、明らかにそのひとつの要因です。

 ですが、調査をしてみると、理由はそれだけではありませんでした。

 ――というと?

 調査対象の家では、早めに帰…

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