ロシアのプーチン大統領が、ウクライナ南部クリミア半島とロシア本土を結ぶ「クリミア橋」の爆発について、「テロ」との見方を示し、実行者は「ウクライナの特殊部隊」と断定しました。一方、バイデン米大統領とショルツ独首相が電話協議し、ロシアが核兵器使用をちらつかせて威嚇していることを無責任だと非難しました。ウクライナ中南部ザポリージャ州にあるザポリージャ原発では電源が一時失われ、停止中の原子炉の冷却にも影響が及ぶことが危ぶまれています。
拡大するウクライナの戦況地図(10月9日時点)
(タイムスタンプは日本時間、括弧内は現地時間)
米国のブリンケン国務長官は10日、ウクライナのクレバ外相と協議したことをツイッターで明らかにした。ブリンケン氏は「今朝のロシアによる恐ろしい攻撃を受けて、ウクライナに対する米国の支援を再度表明した。ウクライナが自国を守り、国民を擁護できるよう、経済、人道、安全保障の揺るぎない支援を提供し続ける」と投稿した。
クレバ氏も自身のツイッターに「ブリンケン氏と私は、ロシアがウクライナに対する非人道的なミサイル攻撃(の責任)から逃れてはならないことで合意した。私は、ウクライナの防衛能力の強化、ロシアへの新たな制裁、ロシアのテロに対する責任追及など、多くの重要な問題を提起した」と記した。
ロシア軍がウクライナの首都キーウを含む複数の都市にミサイル攻撃を仕掛けたのを受け、国連のグテーレス事務総長は10日、「大規模な攻撃に深くショックを受けている」と声明を発表した。
特に民間人が滞在する地域が狙われ、多くの死傷者が出ていることを懸念した。グテーレス氏は「また一つ容認できない戦争の拡大をつくった。最も大きい代償を払うのはいつも民間人だ」とコメントしていた。
首都キーウを含むウクライナの各地で10日午前にロシアのミサイルによる攻撃が相次いだことを受けて、欧州の外交トップらからはSNSでロシアを非難する言葉が相次いだ。
フランスのコロナ外相はツイッターに「ウクライナの都市に対する無差別攻撃を断固非難する。民間人への故意の攻撃は戦争犯罪だ」と書き込んだ。
欧州連合(EU)の外相にあたるボレル外交安全保障上級代表も「ロシアの一般市民への攻撃に深い衝撃を受けている。こうした行為を最も強い言葉で非難する」と投稿。英国のクレバリー外相は「民間地域に対するロシアのミサイル発射は受け入れられない」と批判した。
ウクライナ全土で10日朝に相次いだロシアによるミサイル攻撃の被害について、ウクライナ国家警察は少なくとも10人が死亡、約60人が負傷したとSNSで明らかにした。
これに先立って、内務省のスミルノフ顧問は、首都キーウの中心部シェフチェンコ地区だけで民間人8人が死亡、24人が負傷したとSNSに投稿しており、被害はさらに増える恐れがある。
ロシアのプーチン大統領は10日、オンラインで参加した国家安全保障会議で、同日の朝のウクライナへの攻撃をめぐり、「国防省の提案と参謀本部の計画により、ウクライナのエネルギーや軍事指揮、通信の施設に対し、陸海空の兵器で大規模な攻撃を実施した」と明言した。
ウクライナ側の「テロ」への反撃だとし、「我々の領土へのテロが続けば、激しく報復する」と強調。ロシアが「領土」と主張するクリミアなどへの攻撃をウクライナ側が続ければ、さらに激しく報復すると主張した。
プーチン氏は、ロシアが2014年に一方的に併合したクリミア半島とロシアを結ぶ「クリミア橋」で8日に発生した爆発について、「首謀者と実行犯がウクライナの特殊部隊なのは明らかだ」と断定。東部ドンバス地方やザポリージャ原発などをウクライナ側がテロ攻撃していると主張し、「このような犯罪を放置しておくことはできない」と話した。
アラブ首長国連邦(UAE)の…