8日目以降「登園可」でも「感染リスクあり」? 悩む現場の決断は
政府が新型コロナウイルス感染症の療養期間を見直したことで、保育現場にもさまざまな受け止めが広がっています。職員確保の観点などから歓迎する見方がある一方、新たな方針の矛盾について指摘する声も。東京都板橋区にある認可保育園「わかたけかなえ保育園」の山本慎介園長は「うちの園では、8日目以降の登園は不可としています」と話します。現場での対応の難しさについて詳しく聞きました。
――陽性で症状があった人に対しても、療養期間が「10日」から「7日」に短縮されました。どう見ていますか。
この件について、現場でもいろいろな反応があります。
療養期間の短縮
政府は新型コロナウイルス感染者の療養期間について、有症状なら発症後10日間から7日間に短縮するなどとし、9月7日から適用した。厚生労働省の専門家組織は、周囲の人に感染させるリスクは残るが、感染対策に気をつけることで許容できると判断した。
一つは、職員確保の観点から短縮を歓迎する声。もう一つは、「感染から10日未満で集団生活を行うことについて、感染を広げる恐れはないのか」と心配する声です。そのどちらも、ありうる反応だと思います。
――現在、園ではどう対応していますか。
当園では、国が療養期間の短縮を認めた翌日に、保護者に対して「発症日から10日間を経過するまでは、当園の利用を不可とします」という内容の文書を保護者宛てに配布しました。
その理由は、大きく二つあります。まずは、療養期間の短縮に対してまだ科学的な根拠が少ないと感じたことと、もう一つは、政府の(期間短縮などの方針を示した)通知のなかでも言及されていますが、「8日目以降も感染リスクがある」ので、「感染対策を徹底して」くれと言われたことです。
保育園は、まだマスクもきちんとすることが難しい年齢の子どもたちが集団で生活する場所です。そこに「感染対策を徹底すること」を求めるのは、私としては難しいと思います。一方で「対策を緩和するよ」というメッセージを出しながら、現場へは「感染対策の徹底を!」と求めるのは、どこかちぐはぐではないか、という思いもあります。
――対策の難しさについて、具体的にどのようなことがありますか。
まず、基本的に2歳未満児のマスク着用は推奨されていませんし、2歳以上の子どもでも、すべてに「適切なマスクの扱い」を求めることは難しいと感じています。
マスクの裏側をなめてしまったり、装着できても鼻まできちんと覆えなかったり……。途中で外してしまう子も少なくありません。それに、給食時や昼寝など、子どもたちがマスクなしで過ごすことが前提になっている時間も多いです。
職員と子どもとのコミュニケーションも大事です。それなのに「感染対策を徹底する」ため、「まだ療養明けだから、くっついたらいけないよ」などと言わなくてはいけないのでしょうか。
「感染リスクが残存する」というタイミングで集団生活を認めるというスタンスが、一番理解に苦しむところです。
――ほかの感染症との扱いの違いに戸惑う声もあるようですね。
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