第3回46人の死刑に立ち会った祖父 遺品のテープ、孫娘は燃やせなかった

【動画】2日前の告知 大阪拘置所長だった、故・玉井策郎さんのテープより
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 「死と壁」(創元社)と題した本がある。

 1949~55年、大阪拘置所長を務めた玉井策郎さん(故人)が在任中の53年12月に書いた。はしがきには、こう記されている。

 「私は矯正職員でありながら、死刑囚のことは何も知らなかった。一般の人が、死刑囚について知らないのはあたりまえのことだ。私はこれではいけないと思った。そんな気持(きもち)からこの本をまず書き出したのだ」

 死刑の執行場所は、刑務所ではなく、拘置所であること。死刑が確定した後でも、再審や恩赦を求められること。希望する宗教によって、教誨(きょうかい)も礼拝も行われること――。こうした死刑囚の日常のほか、ある死刑囚に対し、心理状態などを踏まえて3日前に告知し、母親らと面会させ、執行するまでの様子が描かれている。

死刑囚の肉声が入ったテープを通じ、死刑について考えます。記事の後半には、実際の執行と思われる音声もあります。視聴の際にはご注意ください。

 玉井さんが、別の死刑囚に2日前に告知し、執行するまでの様子をテープに録音していたのは、この本の発刊から1年あまりたったころ。大阪拘置所長を務めた最後の年だった。

「極秘にとった大事なもの」

 玉井さんは在任中の6年間に…

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