山口の美祢線「100周年」へアートパネル お笑い列車も企画

大藤道矢 水田道雄
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 JR美祢線が2024年3月に全線開通100周年を迎えるのを機に、路線を盛り上げるための巨大アートパネルが美祢駅にお目見えした。美祢市出身で国内外で活躍する切り絵画家、久保修さんの作品を再現したもの。同市の約20人の小中高校生が描いた。

 久保さんの「ラッピング列車とアーチ橋」は、美祢駅と重安駅の間にあるアーチ橋の下をくぐり抜ける列車が描かれている。2018年に配布された美祢線カードのデザインになり、19年の美祢市制施行10周年を記念した切手にも採用された。

 同市内の地域住民らでつくる教育支援組織「ゆめみねット協議会」がパネルの制作を企画。大きさは縦1・8メートル、横約2・7メートルで、夏休み中に6日ほどかけて作った。12日、美祢駅で完成セレモニーがあり、制作した児童・生徒やJR西日本の関係者らが参加した。

 大嶺小学校6年の森明澄さん(11)は「きれいに描くために集中しなくてはいけないので難しかった。中学生や高校生の人たちと協力してできたことがとてもいい経験になった」。園田にこさん(11)は「たくさんの人に見てもらって美祢の街がもっと元気になったらうれしい」と話していた。

 篠田洋司市長はあいさつで「地方ローカル線は美祢線に限らず非常に厳しい状況にあるが、通勤、通学、通院といった生活や観光に利用され、地域の歴史が詰まっている。この路線を守っていかなければならないと、アート作品のプロジェクトを通じて感じた」と話した。(大藤道矢)

路線盛り上げよう 列車で芸人ライブ 11月にイベント

 JR美祢線の全線開通100周年を前に、他にもイベントや事業が企画されている。11月に運行予定の「お笑い列車」は、吉本興業に所属する「美祢市住みます芸人」らが車内で芸を披露する。途中で下車して、美祢市の道の駅「おふく」に立ち寄り、長門湯本温泉の宿泊施設で「お笑いライブ」も開く。

 また、小野田線を含めた計9駅で、国鉄時代に全国の認定駅に設置された「わたしの旅」スタンプを復刻し、鉄道愛好者の来訪を呼びかける。8月には長門市で美祢線の利用者に無料で自転車を貸し出す「輪行キャンペーン」を行った。

 こうした事業は、美祢、長門、山陽小野田の沿線3市などで構成するJR美祢線利用促進協議会が取り組んでいる。美祢線は利用客が少ない赤字路線で、廃線を含めた見直しの協議が始まる可能性がある中、「100周年」を契機にした新たな仕掛けで利用を増やしたい考えだ。

 昨年度は新型コロナの影響で豪雨災害からの復旧10周年の式典や特別列車の運行などが中止になり、美祢線の年間の利用者は約13万2800人と目標の18万2500人を下回った。(水田道雄)

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