新幹線開業は「葬式の日」コラムに地元反発、民放は「差別ではない」
今月23日の開業を控えた西九州新幹線をめぐり、佐賀県武雄市の小松政市長と市議会は12日、佐賀県の民放サガテレビがウェブサイトに掲載したコラムの内容に差別的な表現があるなどと指摘する申入書をそれぞれ同社に郵送した。
コラムは「悲運の西九州新幹線 開業日は『葬式の日』」のタイトルで、宮原拓也解説主幹名で6日にサイトに掲載された。
「西九州ルートは、生まれながらに悲運をまとった新幹線」
「『着工凍結』や、政治判断でのルート変更の憂き目に遭う。いわば、捨て子や養子騒動に見舞われた」
「新幹線開業日は、消えゆく在来線沿線住民にとっては『葬式の日』とされる。悲運である」などと指摘する内容だった。
これに、新幹線の起点となる武雄市と市議会は反発。
市議会は「コロナ禍、水害を乗り越え、数十年かけて開業の日を待ち続けた我々にとってお祝いの日」
「『捨て子』『養子』といった比喩は、出自を差別する表現と受け取られかねない」「『葬式の日』『捨て子』『養子』という表現の在り方について、断じて許せるものではない」などとサガテレビに申し入れる議案を、12日の本会議で賛成14、反対1、棄権3の賛成多数で可決し、送付した。
小松市長も「『開業日は葬式の日』との表現は、懸命に取り組んでいる沿線住民にとっても、機運の醸成の妨げになる」「『捨て子や養子騒動に見舞われた』との表現も差別的表現で人権への配慮を欠いている」とする申入書を送った。
サガテレビは9日に、タイトルから「開業日は『葬式の日』」を削除し、文中の「『葬式の日』とされる」の部分を「『葬式の日』と言う人もいる」に修正した。
鶴丸英樹・同社報道部長は朝日新聞の取材に「『捨て子』『養子』という表現は、あくまで一般的な比喩。特に出自を差別する表現ではありません。またその意図もありません」とし、「様々なご意見に耳を傾け、今後の取材、放送などに生かしてまいります」と答えた。
西九州新幹線は福岡市と長崎市を結ぶとする整備計画のうち、武雄温泉(武雄市)―長崎が23日に開業する。新鳥栖(佐賀県鳥栖市)―武雄温泉の整備方法は未定。
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- 【視点】
サガテレビのサイトで、はがくれ時評「非運の西九州新幹線」を読んでみた。時評では、「新路線誕生の陰で、既存の在来線が切り捨てられた」「わずか30分ばかりを短縮するがために、鉄道本来のよさが損なわれ、失われるものがあまりに多い」などと問題提起し
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