第2回送電線ないのにテレビついた ケニアを照らす再エネ、日系企業も参入

 急速に電化が進む東アフリカのケニアは、再生可能エネルギーの発電比率が9割を誇る。電気が来ない地域では、屋根置きの太陽光発電ビジネスが躍進。地熱発電も急拡大し、日系企業も競って投資している。

 ケニアの首都ナイロビから南東へ約60キロ。山の斜面には、バナナやコーヒーの木に囲まれた小さな平屋が連なる。屋根には太陽光パネルが並ぶ。電線はない。広域の送電網(グリッド)から切り離されている「オフグリッド」の仕組みで、電気を利用している。

 多額の投資が必要となる送電網の整備が遅れるケニアでは、大規模な火力発電所や原子力発電所ではなく、小規模な発電方法が期待されている。より低コストで、各家庭の事情に合った発電ができるからだ。

アフリカ・ビジネスNEXT 未来市場のサバイバル

2050年に25億人を抱えるとされるアフリカ。「最後の巨大市場」に、世界中から挑戦する人たちが後を絶たない。最先端の技術を利用したビジネスが次々と生まれ、急激に変わろうとしている。

 オフグリッドのサービスを提供しているのは、ナイロビ発のスタートアップ(新興企業)「エムコパ(M―KOPA)」だ。少額の返済を続けることで、電気のほかにテレビやラジオもセットで使える。

 利用者のピーター・ムティンダさんは「数年前までロウソクしかなかった。それがランプがつき、テレビも見られるようになった。生活はかなり変わった」と笑顔で語る。

 5人家族で、バイクタクシーの運転手として働く。月収は1万5千円。返済額は1日100円ほどで、すでに完済している。

「オフ・グリッド」太陽光システム 全世帯の7.5%に普及

 「楽な暮らしではないけど…

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