音声ガイドとバリアフリー字幕の映画館 誰もが集い、楽しめる空間を

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佐藤美鈴
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現場へ! ミニシアターは今④

 「夜、高架下の通り。歩道を犬を連れて歩く男性の後ろ姿」「盲導犬のピースが道場の外で待っている」

 座席のひじ掛けに置かれた端末にイヤホンを差し込むと、視覚的な情報を言葉で伝える「音声ガイド」が聞こえてくる。スクリーンには、誰が何を話しているかや効果音を伝える「バリアフリー字幕」も表示される。

 東京・田端にある20席の小さな映画館「シネマ・チュプキ・タバタ」。すべての上映作品に音声ガイドと字幕が付き、車イスや親子鑑賞のスペースもある「ユニバーサルシアター」だ。音声ガイドは毎月4本程度、2階のスタジオで制作している。

 代表の平塚千穂子(49)は将来が見えない20代後半、映画館に救われた。「本当の自分に向き合う、人とつながれる、なくてはならない場所」という。

 名画座に勤め、チャプリンの「街の灯」を目が見えない人と一緒に見る上映企画に携わった。映画を見たいという思いや研ぎ澄まされた感覚に驚かされた。視覚障害者の映画鑑賞を後押しするボランティア団体「シティ・ライツ」を立ち上げ、15年活動を続けた後、2016年にチュプキをオープンさせた。

 「見えない人、聞こえない人はそれぞれの感覚で声色、感情、監督の意図を深く感じ取っている。一緒に見ることで、映画を豊かにしてもらっている」

 チュプキはアイヌ語で「自然…

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