天皇陛下の「おことば」に微妙な変化 今年の戦没者追悼式

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多田晃子

 終戦から77年となる15日、政府主催の全国戦没者追悼式日本武道館東京都千代田区)で開かれ、天皇、皇后両陛下が出席した。参列した約1千人とともに黙禱(もくとう)を捧げ、約310万人の戦没者を悼んだ。天皇陛下が「おことば」に込めた思いとは。

 「過去を顧み、深い反省の上に立って、再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願い、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、全国民と共に、心から追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります」

 陛下は「おことば」で、在位中の上皇さまが戦後70年の2015年の追悼式から毎年盛り込んできた「深い反省」という表現を今年も踏襲した。

上皇ご夫妻の姿勢を継承

 戦後生まれの初の天皇として即位した陛下は、幼い頃から上皇ご夫妻のもとで平和の大切さや戦争の歴史を学んできた。

 上皇さまは皇太子時代の会見で「どうしても記憶しなければならない」四つの日に、沖縄戦終結の日(6月23日)、広島原爆の日(8月6日)、長崎原爆の日(同9日)、終戦記念日(8月15日)を挙げ、毎年これらの日には上皇后美智子さまとともに黙禱を欠かさない。

 そして陛下も、皇后さまや長女愛子さまとともに、これらの日に黙禱を捧げている。今年の終戦記念日は、両陛下は追悼式の会場で、愛子さまは皇居・御所で黙禱した。

 継承の姿勢は、おことばにも表れている。

 即位後に初めて出席した19年の追悼式のおことばは、在位中の上皇さまにほぼ倣う形となった。代替わり後も変わらず、戦争による「深い悲しみ」や「深い反省」とともに、世界の平和と我が国の一層の発展を祈る――。そうした意思を表明しているかのように思えた。

おことばでコロナ禍に言及

 一方、独自色が出たのが、翌…

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