ロシアの核の脅し・中国の発言力…NPT会議に異変、秋山教授が解説
米ニューヨークの国連本部で1日から開催している核不拡散条約(NPT)の再検討会議は、26日に閉幕する。核軍縮、核不拡散、原子力の平和利用というNPTの3本柱について、各国がそれぞれ意見を交わしている。各国が妥協点を見いだし、「最終文書」を採択することはできるのか。2000年からNPT再検討会議を見続けてきた一橋大の秋山信将教授(国際政治学)に、今回の会議のポイントを聞いた。
今回の会議がこれまでと異なるのは、まず、ロシアによるウクライナへの侵攻があったという点だ。
それが会議にもたらした影響については、主に3点をあげたい。
米ロを含めた核保有5カ国(N5)は、NPTに関してはそれなりに共同歩調をとっていた。だが、今回はそういう状況になく、N5の中での対立が顕在化している。それに加え、N5と非核保有国の関係も難しく、それぞれの主張で重なり合う部分は限られたものになってしまっている。
ウクライナは1994年、ロシアと米英が署名した「ブダペスト覚書」で領内の核兵器を放棄し、代わりに安全を保証された。それにもかかわらず、ロシアは核兵器による恫喝(どうかつ)のもと、ウクライナを侵略した。これを問題視する議論が大きく展開されている。これが2点目だ。
3点目は、原子力の安全に関…