ミサイル発射は「海上封鎖の予行演習」 元空将が考える中国の思惑

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聞き手 編集委員・佐藤武嗣

 ペロシ米下院議長の台湾訪問への対抗措置として、中国軍は台湾周辺で弾道ミサイル発射を含む実弾軍事演習を展開している。今回の台湾訪問は、地域情勢をどう変化させたのか。中国側の思惑と演習の意図は何か。軍事の視点から、「台湾有事」に関する共著書もある尾上定正元空将に聞いた。

〈おうえ・さだまさ〉統合幕僚監部防衛計画部長、航空自衛隊補給本部長などを歴任。共著に「台湾有事と日本の安全保障」など。

 ――米国のペロシ下院議長の台湾訪問を受け、中国は台湾を囲む6カ所に実弾射撃訓練の海域を設定しました。1995~96年の第3次台湾海峡危機と比べ、中国の変化は何ですか。

 「第3次台湾海峡危機では、中国は台湾北部の基隆(キールン)沖、南部の高雄(カオシュン)沖に向けてミサイルを発射したものの、演習区域は中国本土の沿岸に設定し、中台中間線を越えなかった。演習も水陸両用作戦が主だった」

 「今回は、台湾を東西南北

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    佐橋亮
    (東京大学東洋文化研究所准教授)
    2022年8月8日9時33分 投稿
    【提案】

    今回、朝日新聞は実に多くの方にインタビューを行っています。ぜひ多くのインタビューに目を通して頂きたいですし、この尾上空将(退役)や門間理良・防衛研究所部長のインタビュー(中国ミサイル、防衛省発表に隠された意図 識者が語る「深刻な事態」 )

    …続きを読む