関西電力元役員ら3人は「起訴相当」 検察審査会 役員報酬問題など

松浦祥子 浪間新太
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 関西電力元役員の金品受領や役員報酬補塡(ほてん)などを巡る問題で、会社法の収賄や特別背任などの容疑で告発された元役員9人全員を不起訴(嫌疑不十分)とした大阪地検特捜部の処分について、大阪第二検察審査会は元役員3人を「起訴相当」と議決した。先月7日付で、1日に公表された。地検は議決を受けて再捜査し、起訴するかを改めて判断する。

 不起訴となっていたのは、関電の森詳介元会長、八木誠元会長、岩根茂樹元社長ら9人。このうち、検察審査会は役員報酬の補塡を決めた森氏、八木氏の2人に対する会社法の特別背任容疑を起訴相当とした。また、金品受領の発覚後に、豊松秀己元副社長が納めた追加納税分を会社として補塡することを決めた森、八木の両氏と岩根氏に対する業務上横領・特別背任容疑も起訴相当と判断した。残りの容疑については不起訴不当とした。

 関電の第三者委員会が2020年に公表した調査報告書などは、9人を含む関電グループの計83人が、関電の高浜原発がある福井県高浜町の元助役(故人)側から30年以上にわたり、計約3億7千万円相当の金品を受け取っていたと認定。また、東日本大震災後の経営悪化を受けた役員報酬の減額分を、退任後に相談役などに委嘱する方法で計約2億6千万円を補塡していたことも判明した。

 地検特捜部は、市民団体の告発を受けて捜査したが、21年11月、9人全員を不起訴処分とした。発覚した問題のうち、金品の受領については、元助役が元役員らに不正な依頼をしたとは言えないことや、元助役の関連企業への不適切な発注があったとは認められないと判断。役員報酬の補塡も、元役員らに業務の実態がなかったとは言えず、会社法の収賄や特別背任罪には問えないと結論付けた。

 告発した市民団体は22年1月、不起訴処分を不服として検察審査会に審査を申し立てた。特捜部が強制捜査をせずに不起訴と判断した点も問題視していた。(松浦祥子、浪間新太)

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