「5類へ」の声強まるも議論進まぬまま 第7波、保健所が再びの緊迫

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米田悠一郎 市野塊
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 新型コロナウイルスの「第7波」で、感染者がかつてないスピードと規模で増えている。保健所の業務が再び逼迫(ひっぱく)し始め、機能の停止に陥れば、自宅で亡くなる患者が出るおそれもある。抜本的に負担を軽減するためには、感染症法上の扱いを「2類相当」から「5類」に引き下げるべきだとの声が出ているが、議論はまだこれからだ。

 「感染の波に毎回備えても、準備を上回る感染のスピードになる。職員の負担は明らかに増えている」。東京都葛飾区保健所の小島絵里・保健予防課長はこう語る。職員は連日午後10時ごろまで働き、土日も当番制で出勤する。

 新型コロナ対応で、保健所が担う仕事は多い。発生届の処理▽感染者の入院調整▽自宅療養者の健康観察▽感染経路や濃厚接触者を調べる積極的疫学調査――感染者が大きく増えると、対応が難しくなる。

 中でも発生届に関する業務は大きな負担だ。医療機関が国のシステムに直接入力する場合もあるが、保健所にファクスで届けることも少なくない。葛飾区保健所管内の発生届は、ここにきて1日500件を超え、うち3割は医療機関からのファクスを保健所が手作業で入力している。診療が終わった夜に、大量のファクスが届くこともある。

 負担を軽くするため、厚生労働省は6月、発生届を簡素化した。感染者の名前や住所など19項目があったが、症状や感染経路などは省くことにした。

 東京都新宿区の「牛込台さこむら内科」では、1人あたり10分ほどかかっていた入力が、7分ほどになった。ワクチンの接種歴を日付まで入れていたところ、最新の接種歴だけで済むようになったことなどが大きいという。

保健所は「メリットになっていない」

 医療機関から歓迎の声が上がる一方で、保健所では困った事態も起きている。

 重症化のリスクがある感染者…

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この記事を書いた人
市野塊
国際報道部
専門・関心分野
気候変動・環境、医療、テクノロジー