元首相銃撃は「民主主義への挑戦」か 宇野重規さんが考える「敗北」

有料記事元首相銃撃 いま問われるもの

聞き手・真野啓太
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 安倍晋三元首相が銃撃される事件が起きると、「民主主義への挑戦」という言葉が飛びかいました。ところが殺人容疑で送検された山上徹也容疑者(41)の動機として、宗教法人「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」への恨みが浮上すると、民主主義の問題として論じることを疑問視する声も出ました。民主主義は関係ないのか。政治思想史が専門の宇野重規・東京大学教授に聞きました。

うの・しげき 1967年生まれ。東京大学教授。専門は政治思想史、政治哲学。著書「民主主義とは何か」で石橋湛山賞。

 ――事件直後から民主主義という言葉が多用されました。

 「新聞や政治家が示し合わせたように『民主主義への挑戦』と表明したことに違和感がある、というのは自然な感覚だと思います。誰が何に対して挑戦したのか、はっきりさせないで使う民主主義という言葉は、中身のないクリシェ(常套句(じょうとうく))になっているように思えます」

 「一方で、民主主義の問題ではない、という意見に対しても、違和感があります」

 ――どんな違和感でしょうか。

 「個人的な一種の逆恨みであり、アクシデントだから、政治的な問題ではない、民主主義とは関係がないとする考えは、非常に表層的です。そうした理解には異議を唱えたいと思います」

 ――ただ容疑者は、安倍元首相の政治信条への異議ではない、とも供述しているようですが。

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 「宗教団体を恨み、安倍さん…

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