オオサンショウウオの交雑種、ついに… 「在来種が絶滅する危惧」

岡田将平
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 国の特別天然記念物のオオサンショウウオ(在来種)と中国由来のチュウゴクオオサンショウウオの交雑種が広島市の川で、県内では初めて見つかった。市は「交雑が進むと在来種が絶滅する危惧がある」としている。さらに詳しく把握するため、7月中に実態調査に着手する予定という。

 オオサンショウウオは世界最大の両生類で、「生きた化石」と呼ばれる。中部地方以西の西日本に生息し、県内では太田川水系などで確認されている。

 交雑種が見つかったのは、市西部を流れる八幡川。5月中旬、市民から広島大に写真が提供されたオオサンショウウオの胴体の模様から、交雑種の可能性が浮上。市民が目撃した場所付近で大学と市安佐動物公園が7頭を捕獲したところ、DNA鑑定で5頭が交雑種とわかった。

 広島大総合博物館の清水則雄准教授によると、在来種は茶色い体に黒い斑点があるのが特徴だが、交雑種はそうした模様がなかった。チュウゴクオオサンショウウオは大型化する傾向があり、オスは巣穴の「ヌシ」になって、メスとの繁殖の相手になりやすいため、交雑が進みやすいという。見つかった交雑種の個体は30歳超のものもあるとみられるという。

 交雑種は、京都、三重、奈良、岡山でも確認されており、清水准教授は「山口、島根、鳥取でも確認されるのは時間の問題」と指摘。「100年、200年先には在来種がいなくなることも現実的に見えている」と危機感を示す。

 市文化振興課の平田太・文化財担当課長は、交雑種の影響について、在来種が絶滅する懸念に加え、「川の生態系が変わってくる可能性がある」と指摘する。実態調査では、今回交雑種が見つかった場所から範囲を広げて調査し、どの程度交雑が進んでいるかを確認するという。(岡田将平)

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