相次ぐ虐待の疑い 「暴力を肯定」が蔓延か 青梅の障害者施設事件

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岩田恵実 増山祐史 遠藤美波

 東京都青梅市の障害者支援施設で入所者を暴行したなどとして職員らが相次いで逮捕された。施設内では日常的に虐待が繰り返されていた疑いが持たれている。なぜ防げなかったのか。

 この施設は、青梅市新町3丁目の「自立支援塾おざくSS」。運営団体の理事長によると、施設には知的・精神障害がある25人ほどが入所し、大半が施設内で生活していた。障害の程度が重い人の利用もあった。

「何度となくたたいた」

 最初に事件が明らかになったのは、今年3月。入所者(当時30)=事件後に死亡=の顔などを殴ってけがをさせたとして、職員の落合大丞被告(41)が傷害容疑で逮捕、起訴された。落合被告は昨年12月にも同じ入所者を足蹴りしたとする暴行容疑で5月に再逮捕され、6月には同僚で元警察官の男(62)が別の入所者への暴行容疑で逮捕された。落合被告は再逮捕時、「何度となく被害者をたたいたり蹴ったりしているので、どの行為か思い出せない」と供述したとされる。

 一連の経緯について、会津大短期大学部の市川和彦教授(障害者福祉論)は施設内で「暴力を良しとする空気」が広まっていた可能性を指摘する。暴力で入所者は萎縮し、おとなしくなったように見えたことで暴力が肯定されたと分析。「暴力を助長したり、見て見ぬふりをしたりするようになったのではないか」

 障害者虐待防止法では、職員による虐待の目撃者に対し、自治体への通報を義務づけている。だが、今回は施設側から虐待に関する通報が市に寄せられたことはなかった。

 運営団体の姿勢を疑問視する…

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この記事を書いた人
岩田恵実
瀋陽支局長
専門・関心分野
中国、事件、災害