105歳被爆アスリート死去 97歳から競技、60m走の日本記録も

新屋絵理

 97歳で陸上競技を始め、100歳を過ぎても走り続けてきた広島県三次市の冨久正二(とみひさ・しょうじ)さんが1日、死去した。105歳だった。葬儀は家族で営んだ。

 冨久さんは国鉄に勤務していた28歳のとき、職場の上司らを探すために原爆投下直後の広島市に入って被爆した。腰の治療で通っていた整体院で声をかけられて陸上競技を始めた。2017年に60メートルを16秒98で走り、100歳以上の日本記録を出した。東京五輪聖火リレーの走者に選ばれたが、新型コロナの感染リスクを考えて断念。今年5月に引退したばかりだった。

 大会でよく顔を合わせていた広島マスターズ陸上競技連盟の会長・宮本武利さん(76)は「引退後、連絡をとる間もなく逝ってしまった。元気そうだったのに残念だ」と話した。日本記録を出した後「すぐに過去のものになる」と話し、その日から練習していた姿を覚えている。「どこからエネルギーが出てくるのだろうと思った。強い信念の持ち主だった」と振り返った。(新屋絵理)

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