穀物輸出、線路幅に「85ミリの壁」 ウクライナ鉄道の運行は命がけ
ウクライナ西部リビウ=福山亜希
ロシア軍が黒海を封鎖し、世界の穀倉地帯ウクライナの穀物輸出が滞っている。海路に代わる有力な輸送手段となるのが鉄道だが、欧州との間に思わぬ「壁」が立ちはだかっている。
「85ミリの線路幅の違いが、ウクライナの輸出の妨げになっている。隣国に直接乗り入れられず、国境での貨物の詰め替え作業は、ロシアのミサイル攻撃の脅威にさらされている」
ウクライナ鉄道のバレリー・トカチョウ商業作業部門副所長はため息をつく。
ロシアの黒海封鎖で、海からの農作物の輸出を妨害されているウクライナ。米農務省の統計によると、国土の大半が耕作地のウクライナは、2021年は農産物が輸出額の約4割を占めた。主に港から輸出しており、ロシアの海上封鎖は、ウクライナ経済に打撃を与える狙いとみられる。
敵と味方の境界線
ウクライナは鉄道を使った陸路での輸出に切り替えたが、そこに立ちはだかるのが、欧州諸国と異なる線路の幅だ。
旧ソ連の構成国だったウクラ…