保育園の不適切保育、3歳の娘はPTSDになった 母がいま望むこと

有料記事こぼれ落ちる子どもたち

久永隆一
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 3年前、ある女の子がPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症しました。保育園で受けた「不適切保育」が原因でした。国を挙げて保育園を増やすなか、大切なものを置き去りにしてこなかったでしょうか。こども家庭庁が2023年にできることが決まり、「いま一度、見つめ直してほしいことがある」と女の子の母親は訴えます。

 ハローキティのシールを貼った日は「ままのたんじょうび」。女の子は手帳に、これから先の楽しいことを書き込むのが日課になっている。これはPTSDを治すための方法の一つ。治療を受けるようになったのは、3年前の出来事がきっかけだった。

 「もう行かない」

 19年の春。当時3歳の女の子は、家に帰ると泣きじゃくった。保育園の先生にされたことを母親に話し始めた。

待機番号は680番 やっと見つけた園で…

 外から鍵のかかるトイレに閉じ込められたこと。電気も消され真っ暗闇の中、1時間30分。ずっとひとりぼっちだったこと。

 「行かなくていいよ」。女の子を抱きしめて母親はそう伝えた。

 東京都内でやっと見つけた保…

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    末冨芳
    (日本大学文理学部教授)
    2022年6月15日18時27分 投稿
    【視点】

    暗いトイレに長時間閉じ込められた女の子の気持ちを考えると本当につらい気持ちになります。明確な児童虐待です。 児童虐待防止法の対象は親や同居する大人であり、子どもに関わる職(保育士や教員)がその対象となっていないことを私は問題として指摘

    …続きを読む
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    仲村和代
    (朝日新聞社会部次長)
    2022年6月15日19時16分 投稿
    【視点】

     この記事に書かれているような「不適切保育」が、例外中の例外であってほしい。そう願いますが、残念ながらそうではない、というのが実感です。  私もここ数年、取材で同じようなケースをいくつも耳にしました。待機児童問題がクローズアップされ、とに

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こぼれ落ちる子どもたち

こぼれ落ちる子どもたち

虐待、貧困、性被害……。大人がつくった支援制度からこぼれ落ち、困難に直面している子どもたちがいます。今の国会では、「こども家庭庁」の設置法案などの審議が始まり、子ども政策の転換点を迎えます。今後、子どもたちに救いの手が届くのでしょうか。リアルな声とともに伝えます。[もっと見る]