「助けて」が言えない電車の痴漢 6千件の報告からみえた路線の傾向
新学期が始まって間もない4月15日朝。埼玉県から東京都内に向かって走行中の満員電車の中だった。
「痴漢です 助けてください」
電車内で痴漢の被害にあっていた10代の少女はスマートフォンを手にとり、画面にそう表示させて周囲にかざした。
近くの男性が反応したのを見て、さらに「やめてください」とスマホから音声を流した。すると別の男性も異変に気づき、少女の体を触っていた男に「何をやっているんだ」と声をかけた。
男は少女や男性らと一緒に都内の駅で下車。少女の110番通報で駆けつけた警察官に引き渡された。
警視庁によると、少女が使ったのは、警視庁のスマホ用防犯アプリ「デジポリス」(https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kurashi/tokushu/furikome/digipolice.html)だ。痴漢にあったことを知らせる文字を表示させたり、音声を流したりすることができる。
2016年の配信以降、今年3月末までに約47万件がダウンロードされており、積極的な活用を呼びかけている。警視庁は6月1日から、鉄道会社とともに「痴漢撲滅キャンペーン」を開始。デジポリスの利用促進を呼びかけている。
警視庁がこうしたアプリの開発に乗り出した背景には、痴漢の被害は表面化しにくいという現状がある。
声を出せない…9割が泣き寝入りの実態
痴漢にあっても、声を出せない、助けを呼べない、泣き寝入りする――。実際は、そんな被害者が少なくない。
岡本まりやさん(18)も…
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