5月31日は世界禁煙デー 非喫煙者「対策強化を」、喫煙者の考えは

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 成人は18歳に引き下げられたが、喫煙開始は20歳のまま――。国立がん研究センターが実施した成人年齢とたばこに関する市民アンケートで、18、19歳は喫煙が禁止されていることについて「知らなかった」「あまりよく知らなかった」と答えた人が約3割いることがわかった。

 また、たばこを吸い始める年齢が若いほど、病気になるリスクが高くなることについても「知っている」と回答した人は4割ほどにとどまった。センターは「低年齢からの喫煙について、健康へのリスクがあるという認識は高くなかった」と分析する。

喫煙始めた年齢、早ければ早いほどリスク

 アンケートは5月31日の世界禁煙デーにあわせて実施。4月22~27日、喫煙者1千人、非喫煙者1千人の計2千人にインターネット上で聞いた。4月に成人年齢は18歳になったが、喫煙は20歳以上と従来と変わらない。この点については「知っていた」は68・6%で、「知らなかった」が15・3%、「あまりよく知らなかった」が16・1%だった。

 喫煙は開始年齢が早いほどがんや心臓病になるリスクが高まることが知られている。この点について知っていることを複数選択する質問では、「喫煙開始年齢が低いと喫煙年数が長くなる」が44・9%、「喫煙開始年齢が低いと疾病のリスクが高くなる」が42・9%といずれも半数に満たなかった。

 今後のたばこ対策については、喫煙者と非喫煙者で考えが分かれた。

たばこ対策、吸う人と吸わない人で真逆の考え

 喫煙者の31%は「個人の判断にゆだね、課税や規制は緩めるべきだ」、21%は「課税や規制はなくすべきだ」とそれぞれ回答した。

 一方、非喫煙者の38%は「課税や規制の強化を推進すべきだ」、31%は「全面禁止によるたばこのない社会の実現をめざすべきだ」と回答した。喫煙者と非喫煙者で、たばこ対策への考え方について明確な違いがあることがわかった。

 たばこには多くの発がん性のある物質が含まれ、喫煙によって、咽頭(いんとう)、食道、肺、肝臓、胃、膵臓(すいぞう)などのがんや、脳卒中、慢性閉塞(へいそく)性肺疾患、早産などのリスクが高まることが知られている。受動喫煙でも、肺がんや脳卒中、乳幼児突然死症候群などのリスクが高まるとされている。

 英国の研究では40歳ごろまでにたばこをやめると、非喫煙者とほぼ同じ生存曲線となる。ただ、50代、60代で禁煙を始めても、生存曲線は非喫煙者に近づく。

 同センターのたばこ政策情報室の平野公康(ともやす)室長は「いつ禁煙してもはっきりと効果がある。一方で、近年は喫煙率が下げ止まりの傾向にある」と指摘する。公共の場での禁煙をすすめ、若年者にたばこを吸う行為を見せないことが重要という。

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    辻外記子
    (朝日新聞編集委員=医療、健康)
    2022年5月31日18時27分 投稿
    【視点】

    世界禁煙デーに合わせ、2021年に発表された国立がん研究センターの調査でも、喫煙者と非喫煙者の意識の差が浮き彫りになりました。「喫煙者は新型コロナに感染すると重症化しやすいと思うか」と聞くと、非喫煙者の59%が「しやすいと思う」と答えたのに

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