広島、長崎の平和式典「ロシア呼ばず」 大使は反発、被爆者らに賛否

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福冨旅史 大久保貴裕 岡田真実
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 広島、長崎両市は、被爆77年の今年8月に開く式典に、ロシアの代表を招待しないことを決めた。ウクライナへの侵攻が理由で、ロシアを支援するベラルーシも招待しない。歴史上でただ二つ、核攻撃を受けた都市として世界中に核兵器廃絶を訴えてきた被爆地の普遍的な立場が問われるとして、賛否の声が出ている。

 「本当は招きたかったが、難しいのが現実」。26日、両国の招待見送りを明らかにした長崎市田上富久市長はこう述べた。「式典が最後まで厳粛に行われることを考えた」とし、両国代表が参列した場合、抗議で近づく人が出るなどの恐れを主な理由とした。

 20日に両国の招待見送りを発表した広島市松井一実市長は26日の記者会見で「式典を政争の具にされたくない」と述べた。ロシアを招待することで、参列を見送る国が出る可能性を懸念したという。

 ただ、松井市長は今月13日の会見では「『いまの状況だからこそ考え直すために来て下さい』と招待状を出す」と述べ、例年通りロシアを招待する考えを示していた。

 広島市によると、両国の招待について政府と協議した。外務省から「政府の立場を誤解され、外交問題になりかねない」と見送りを要請されたという。市幹部は「被爆地の使命はあるが、政府を無視することはできない」と話す。

 長崎市は「(政府に)相談していない。主催者としての判断」(田上市長)とした。

 ロシアのガルージン駐日大使は25日、SNSで、「恥ずべき措置。平和式典の主催者は、ウクライナにおけるロシアの特別軍事作戦を口実に『拒絶』を選んだ」と非難した。ガルージン氏は「ロシアがウクライナでの核兵器使用をもくろんでいるというばかげた作り話を、恥知らずにもあらゆる手を尽くして拡散している」とつづった。

 被爆者らの反応は割れる…

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