何度でも乗りたい秘境路線めざせ 秋に全線再開のJR只見線
10月に11年ぶりに全線で運行再開するJR只見線について、福島県と沿線市町村は利用促進の取り組みを強化することを決めた。23日に会津若松市であった只見線利活用推進協議会で、今年度の利活用計画を了承した。高校生や外国人観光客を新たなターゲットとして利用者を増やし、鉄路を持続させるのが狙いだ。
県などは「日本一の地方創生路線を目指して」をスローガンに2018年度から利活用計画「アクションプログラム」を実行している。今年度は約5億6千万円の予算をかけ、只見線の独自の魅力をいかした誘客や情報発信を強化し、「何度でも乗りたい、訪れたいと思える路線・地域づくりを進める」としている。
今年度の主な事業は、全線再開を記念した首都圏客向け特別ツアーや臨時列車の運行▽全国の高校生が只見線の活用策を話し合う「高校生サミット」の開催▽駅と沿線観光地を結ぶバス・タクシーの運行▽コロナ後を見すえた外国人観光客向けガイドブックの作成、など。
協議会で鈴木正晃副知事は「只見線は四季折々の絶景が楽しめる秘境路線として人気が高まっている。路線に付加価値をつけて、会津や福島全体の活性化につなげたい」と述べた。沿線の只見町や金山町からは「全線再開はゴールでなくスタート。今後は観光客だけでなく沿線住民にどれだけ利用してもらえるかが大事だ」などの意見が出た。
総延長135・2キロの只見線は、2011年7月の新潟・福島豪雨で線路や鉄橋が被災。会津川口(金山町)―只見(只見町)間の27・6キロで不通が続いていたが、復旧工事の大半が終了したため10月1日からの全線再開が決まった。県が線路や駅舎などを保有・管理したうえで、JR東日本が車両を走らせる「上下分離方式」となる。