温暖化のせいで被害5200億円増 新幹線浸水の19年の台風19号
100人超の死者・行方不明者を出した2019年の台風19号(東日本台風)では、気候変動(地球温暖化)の影響で、経済被害が5千億円以上増えていたと、気候学者の国際グループが発表した。日本の災害でこうした解析は初めてだという。国際学術誌に18日、論文が掲載された。
台風19号では、10月12日を挟んで気象庁の100観測所以上で史上1位の24時間雨量を更新。河川の氾濫(はんらん)が相次ぎ、千曲川は決壊して、長野市内で北陸新幹線の車両が浸水した。世界の災害被害を調べている独ミュンヘン再保険が見積もる保険損害額は約100億ドル(約1兆2900億円)に達した。
温暖化による影響は、雨量については関東甲信地方周辺で11%増えたことを気象庁気象研究所などが突き止めていたが、経済被害はよくわかっていなかった。
そこで研究者グループ「ワールド・ウェザー・アトリビューション(WWA)」は10月12日の関東周辺の雨量記録に注目。地球温暖化が起きていなかったと仮定した気候のシミュレーションなどと比較した。
その結果、工業化以前に比べて気温が1度以上高くなった現在の気候では、こうした豪雨の発生確率が1・67倍になっていることがわかった。これは温暖化の影響がなければ、19号による被害が、1・67分の1で済んだことを意味し、損害保険額の40%にあたる、40億ドル(約5160億円)は温暖化によると考えられるという。
グループによると、東京も被…
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- 【視点】
2020年にアメリカの気候安全保障センターが公表した気候リスク分析では、地球の平均温度が1~2度上昇した場合、干ばつや水害、海面の上昇による所謂「気候難民」大量発生による国境間の緊張、脆弱な国家の破綻とテロ組織や過激派の拡散、食糧難や資源の
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