【詳報】ウクライナ侵攻19、5月6~11日(日本時間)の動き

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 5月9日の対独戦勝記念日という節目を越えても、ロシア軍の攻撃は続いています。南部の都市オデーサにもミサイル攻撃があり、死傷者が出ました。ウクライナ軍は東部で激しく反撃しているとみられます。南東部のマリウポリの製鉄所では、市民の避難が完了していないとの情報も伝えられています。

(タイムスタンプは日本時間。括弧内は現地時間)

■■■5月11日(日本時間)■■■

21:40(リビウ15:40)

ロシアが盗んだウクライナの小麦、シリアに輸出か AP通信が報じる

 AP通信は11日、ウクライナを侵攻したロシア軍が現地で盗んだ小麦を積んだとみられるロシア船籍の貨物船が、シリアのラタキア港に入港したと報じた。衛星写真などを分析したという。

 この小麦をめぐってウクライナ政府は、2万7千トンをロシア軍が接収し、ロシアが一方的に併合を宣言したクリミア半島から船積みしたと指摘していた。小麦は当初、エジプトに運ばれる予定だったが、エジプトは受け取りを拒否。ウクライナ政府は各国に受け取らないよう呼びかけていたという。

 ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、両国から小麦を大量輸入していた中東各国では、小麦の不足や価格上昇が深刻化している。

19:45(モスクワ13:45)

ロシア大統領報道官、戒厳令発令は「計画にない」

 ウクライナに侵攻するロシアのペスコフ大統領報道官は11日、米国などで臆測が浮上していた戒厳令の発令について、「計画にない」と記者団に否定した。ロシアのインタファクス通信が報じた。

 米情報機関トップのヘインズ国家情報長官は10日、ロシアにとって思うように戦況が進まなければ、プーチン氏が「場当たり的な意思決定」により、戒厳令の発動など思い切った手段に転じる可能性が高いと指摘していた。

19:40(モスクワ13:40)

ロシアの大統領報道官、編入要請は「住民が決めるべき」

 ロシア軍が占拠するウクライナ南部ヘルソン州の親ロ派指導部が、ヘルソン州のロシア連邦への編入を要請する方針を発表したことを受け、ロシアのペスコフ大統領報道官は11日、要請するか否かは「住民が決めるべきだ」と述べた。ロシア国営タス通信が報じた。

 タス通信によると、ペスコフ氏は「(編入には)クリミア半島のケースのように、明確な法的根拠が必要だ」とも指摘した。一方、ウクライナ大統領府長官顧問のポドリャク氏はツイッターへの投稿で「彼らが何を言おうと、ウクライナ軍はヘルソンを解放する」と反論した。

 ロシアは2014年、クリミア半島に軍を展開。軍の制圧下で住民投票を実施し、ロシアへの編入賛成が多数を占めたとして、クリミアを一方的に併合した。ヘルソン州でも住民投票実施の可能性が取りざたされている。

19:00(マスカット14:00)

ロシア外相「欧州での戦争、望んでいない」

 ウクライナに侵攻するロシアのラブロフ外相は11日、訪問先のオマーンで、「ヨーロッパでの戦争は望んでいない」と述べた。ロイター通信が伝えた。

 ロイター通信によると、ラブロフ氏は記者会見で「ヨーロッパにおける戦争の可能性について心配しているのなら、我々は全く望んでいない」と述べ、欧州への戦線の拡大を否定した。一方で「注目してほしいのは、西側はロシアが敗北するべきだと盛んに主張していることだ。判断はみなさんに任せる」とも語ったという。

 米国のオースティン国防長官は4月25日、「ロシアが、ウクライナ侵攻のようなことをできない程度に弱体化することを望む」と述べていた。

18:40(モスクワ12:40)

ヘルソン州の親ロ派指導部、ロシアに編入要請の意向

 ロシア軍が占拠するウクライナ南部ヘルソン州の親ロ派指導部は11日、ヘルソン州をロシア領内に編入するよう、プーチン大統領に要請する方針を発表した。複数のロシア国営メディアが報じた。

 タス通信やノーボスチ通信によると、親ロ派指導部副代表のストレモウソフ氏は「ヘルソンはロシアであり、『ヘルソン人民共和国』にはならない」と述べ、ロシアへの編入を要請する意向を示した。住民投票は実施しないとしている。ヘルソン州ではロシア通貨ルーブルの流通が伝えられ、ロシアのテレビの放送も始まったとされるなど、「ロシア化」が進んでいる。

14:50(キーウ8:50)

マリウポリ当局「年末までに1万人以上死亡する恐れ」

 ロシア軍が包囲するウクライナ南東部マリウポリ市の当局は11日、病気や劣悪な衛生環境により、マリウポリで年末までに1万人以上の民間人が死亡する恐れがあると、SNSに投稿した。

 投稿によると、マリウポリには15万~17万人の市民が留まっているが、その大半が高齢者や病人で、薬や医療、上下水道を取り巻く環境が改善されなければ、伝染病が蔓延(まんえん)する可能性があるという。

 マリウポリのボイチェンコ市長は「市民の生命は危険にさらされている。マリウポリからの完全な退避が必要だ」と強調した。

 ゼレンスキー大統領は10日、マルタ共和国の議会での演説で「マリウポリに本物の地獄を築いた」とロシア軍を非難。「絶え間ない爆撃で9割以上の建物を破壊し、人工的に飢餓状態をつくりだした。いかなる食料、飲料水、薬の配送も阻止している」と指摘した。

13:40(ロンドン5:40)

「ウクライナ軍のドローン、ロシア軍の補給船に打撃」英国防省

 英国防省は11日、ウクライナの戦況をめぐり、黒海北西部に浮かぶウクライナ領のズミイヌイ島(スネーク島)でロシア軍とウクライナ軍の戦闘が続いていると、SNSに投稿した。

 ズミイヌイ島はウクライナ南部オデーサ州の沖合30キロ余りの小島で、ロシア軍が占拠している。英国防省によると、ロシア軍は島の守備隊の強化を図っているが、ウクライナ軍が無人航空機(ドローン)「バイラクタル」で、ロシア軍の防空網と補給船に打撃を与えているという。

 英国防省は、ロシアは黒海艦隊の旗艦「モスクワ」を失ったことで「補給船の防護が手薄になっている」と指摘。一方、ロシアが防空システムと沿岸防衛ミサイルで島の守備を固めることができれば、黒海北西部を支配することができるだろうとした。

11:00(ワシントン10日22:00)

米下院、ウクライナ支援の400億ドル追加予算を可決

 米議会下院は10日、ロシアの軍事侵攻を受けるウクライナを支援するため、新たに約400億ドル(約5・2兆円)規模の追加予算案を可決した。バイデン大統領が要求したのは330億ドルだったが、議会が約70億ドルを上積みした。

 追加予算案には、ウクライナへの軍事装備品や訓練費などに約150億ドル、人道支援などの目的で米国務省に計上する約140億ドルが含まれている。

 米政府によると、バイデン政権はロシアによる侵攻開始からの2カ月で140億ドル(約1・8兆円)ほどの予算をウクライナ支援に充てた。今回の追加予算案が承認されれば、今後5カ月は支援が継続できるとしている。

10:15

フィンランド首相がNATO加盟に意欲 ウクライナ侵攻で危機感高まる

 訪日中の北欧フィンランドの…

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    パトリック・ハーラン
    (お笑い芸人・タレント)
    2022年5月9日20時22分 投稿
    【視点】

    Talking heads(テレビでべらべらしゃべる人)の僕らはプーチンの演説への注目を煽ってきた。 「戦争だ!」と宣言、権限と軍事行動を拡大するのか。「敵はNATOだ!」と、ウクライナから焦点を移すのか。「核は準備できているから、これ以

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