同僚から売春に誘われる人も 真の「国際協力」にしていくためには
様々な理由から失踪したベトナム人の技能実習生たちは、「ボドイ」(兵士の意味)を自称し、日本で暮らし続けています。なぜ、このような人たちが生まれるのか。どうするべきか。日本やベトナムの労働法を研究し、在留ベトナム人らを支援するNPO法人「日越ともいき支援会」の顧問も務める、神戸大大学院の斉藤善久・准教授(ベトナム労働法)に聞きました。
「不法滞在」だから……
ボドイとは、技能実習先や留学先から「失踪」し、日本で生き延びるベトナム人たちが自称する隠語、および、彼らが作るフェイスブック(FB)のコミュニティーの名前です。ボドイの漢字読みは「部隊」で、「兵士」という意味もあります。ベトナム戦争でジャングルに潜み、大国アメリカと戦い抜いた「ゲリラ兵」と、日本という経済大国で隠れながらも、家族や自らの生活のために働き続ける自らの姿を重ね合わせる意味合いもあるようです。
正確な人数は分かりません。ただ、出入国在留管理庁によると、在留資格で許された期間を超えて日本にいる「不法残留者」のベトナム人は、2021年1月時点で、元技能実習生と元留学生を合わせて約1万2500人。新型コロナ禍の影響で、22年1月時点で、約5300人に減りましたが、収束後にはまた増えるでしょう。
入管法によると、彼らの身分は「不法残留」、働けば「不法就労」となります。
私はこうした単語に、論文などでカギ括弧を付けます。「不法」というと、その人が全て悪いように聞こえますが、その立場に追い込んだのは、日本の入管政策だと考えるからです。例えば実習生は、低賃金やハラスメントにさらされても転職が難しく、シェルターなどの支援態勢も充実していない現状では、仲間を頼って逃げだし、新たな仕事を探すのも無理はありません。そもそも、ボドイの大多数は、穏便に働きたいだけなのです。「不法就労」先も、建設や農業など、多くの日本人が働きたがらない職場が多いです。
一方、法律に守られない「不法滞在」の立場ゆえ、様々な問題に巻き込まれやすい身の上です。
どのように犯罪に巻き込まれていくのか。そしてそれを防ぐはずの制度のまずさとは。斉藤准教授が記事の後半でわかりやすく解説します。
外国人は保証人がいないと物…
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