第4回衰弱が進んでも疑われた逃亡と詐病 やっと仮放免の判断、その翌日に
名古屋出入国在留管理局の施設に収容された末、2021年3月6日に33歳で死亡したスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさんは20年12月以来、非正規滞在の外国人を支援する団体「START」の松井保憲さんや眞野明美さんと面会を続けていた。
出入国在留管理庁が8月に公表した調査報告書などによると、その過程で、当初はスリランカに帰国するつもりだったウィシュマさんは、日本での滞在を続けたいと希望を変えた。
ウィシュマさんは21年1月4日、収容施設を出て生活するために仮放免許可申請書を名古屋入管局に提出し、同月下旬には、眞野さんにもひらがなで次のような手紙を送っている。
「まのさん、わたし の びょうき ぜんぶ おわり に して(中略)がんばって げんきに まのさん の うち に きます」
だが、ウィシュマさんの希望は許されなかった。
申請から約1カ月半後の2月16日、ウィシュマさんは仮放免が不許可であることを職員から告げられる。
その4日後、ウィシュマさんの収容期間は「長期収容」と呼ばれる6カ月に達した。
望んだ仮放免はなぜ許可されなかったのだろうか。
出入国在留管理局の収容施設で何が起きたのか――。2021年3月、名古屋の施設でスリランカ人女性が死亡しました。入管庁、遺族、関係者への取材から、その経緯と背景に迫る6回連載の4回目は、施設収容が一時停止される「仮放免」がなぜ認められなかったかを検証します。
収容中だった20年10月、ウィシュマさんは以前に同居していたスリランカ人の男性から「帰国したら罰する」という脅しのような手紙を受け取った。松井さんは「彼女は帰国をためらうほどおびえていた」と話す。
自分のことを気にかけてくれ…
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