ゼレンスキー大統領演説、日本に合わせてマイルドに? 識者が解説
ロシアから侵攻を受けるウクライナのゼレンスキー大統領は23日、日本の国会でリモート演説した。「アジアで初めてロシアに圧力をかけたのは日本」と感謝した上で、ロシアへの継続した制裁の強化を訴えた。
これまで各国議会の演説で、その国ごとに琴線に触れるエピソードを披露し、国民の感情に訴えてきたゼレンスキー氏。日本の演説はどうだったのか。欧州政治に詳しい鶴岡路人・慶応大准教授(国際安全保障)に聞いた。
――演説を見て、どのように感じましたか。
どこまで日本向けにアレンジしたのか分かりませんが、他国での演説と比べても非常にソフトな内容でした。あえて言えば無難だったかもしれません。
もう少しきつい言い回しなどがあるかと懸念しましたが、非常にマイルドで、日本のこれまでの役割に感謝するというトーンが強かった。
要求の部分では、各国での演説とほぼ一緒で、制裁の強化、禁輸、企業のロシアからの撤退。この辺りの受け止め方は様々だと思いますが、中身は非常に穏当。想像の範囲内でした。
議会で演説する目的は、国民の代表である議員を通じてその国の国民に訴えかけ、それぞれの国民のウクライナに対する「共感スイッチ」を押すことです。
日本での「共感スイッチ」は原発の話。チェルノブイリの事故から話を始めて、かなり長めに触れていました。福島への言及はあえてしなかったのだと思います。「日本人は、原発事故は一緒に懸念してくれるよね」という前提だったのではないでしょうか。
――私も「無難」だと感じました。日本にあまり期待していないのではないかとすら感じてしまいました。
それは違います。日本の場合…
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- 【視点】
注目していたのが、日本に対してどんな要求をしてくるのかという点でした。軍事的な協力に踏み込んできたり、第二次世界大戦についての論争的な部分に言及したりといったことがあれば、国民世論に動揺が生じて政治的に混乱する可能性がなきにしもあらずと考え
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