「喝!」 フォロワー数73万の元大リーガーがSNSにこだわる理由
大リーグやプロ野球で21年間、ピッチャーとして活躍した上原浩治さん(46)が、SNSで積極的な発信を続けている。こだわるのが、自然体の姿を見せることだ。
「取り繕っても続かないし、肩の力を抜いてやりたいことをやっている感じ。それを見てくれる人がいるのなら、うれしいですね」
意外にも、SNS歴は長い。2008年にブログ「koji-uehara.net」を始めたのをかわきりに、11年にツイッター(フォロワー数73万人)、20年からユーチューブの「雑談魂」を開設(登録者数45万8千人・いずれも3月22日現在)と、発信の場を広げている。
きっかけは、メジャーリーグでプレーしていた頃のこと。「アメリカで中継ぎのポジションとかやっていても、日本で全く報道されない。ほんなら自分でやったろ、と。ブログで1球速報とか投球内容の感想を書いてました。今はその延長線上でやっているみたいな感じですね」
現在、力を入れるのが、ゲストとの雑談をテーマにしたユーチューブ「雑談魂」だ。自身が浪人生からプロ野球選手まで成り上がって呼ばれるようになった「雑草魂」が由来かと思いきや、「関係ない」という。現役引退後に始め、ボールではなく、質問トークをゲストへ次々と投げ込む。
巨人でチームメートだった松井秀喜さんや高橋由伸さん。ライバル球団・中日の川上憲伸さんや、西武の松井稼頭央ヘッドコーチなどを相手に軽妙なトークを繰り広げている。
「見ている人は、由伸とか稼頭央の普段の姿を知らないでしょ。いつもの彼らの顔を引き出してやろうと思って撮影に臨みました。松井さんのおちゃらけた顔とかね。肩の力を抜いて、居酒屋で話しているような雰囲気。野球の技術論とかはあまり話しません。野球を知らない人でも見てもらえるようにと、考えています」
上原さんがユーチューブを収録する様子を取材した当日は、セ・リーグ元審判員の杉永政信さんがゲストだった。グラウンドレベルでのプロ野球監督や選手のエピソードが多く、評判の「審判さんシリーズ」。
上原 「僕は(杉永さんは)評判は悪くなかったと思いますよ。判定に文句を言った記憶が無いですから」
杉永 「上原さんが投げると試合が早かったので、(審判員は)みんな喜んでいましたよ。コントロールも良かったですし、ポンポン試合が進みましたから」
上原 「ほら、やっぱり。僕はおとなしくて素直な性格ですから。うれしいですね」
上原さんの物おじしないキャラクターとリラックスした雰囲気が、杉永さんから次々とエピソードを引き出していた。
発信を続けることで、上原さんの活動は思わぬ方向にも発展した。NHKの情報番組「サンデースポーツ」や、TBS系「サンデーモーニング」からスポーツコメンテーターの仕事の依頼が入った。サンデーモーニングは、アスリートのプレーなどに対して「あっぱれ!」や「喝!」などと発していた、御意見番・張本勲さんの後任だ。
「積極的に発信をしていたことも、声をかけていただいた理由になったと思います。でも、生放送は難しい。変なこと言えませんから。あと、僕は敵をつくりたくないので、プレーならまだいいですが、選手個人に対しては『喝!』なんて言えませんよ。自分なりのスタイルでやらせてもらいます」
上原さんは巨人の元エースで、大リーグのレッドソックスでは、ストッパーとしてワールドシリーズの胴上げ投手にもなった。球界で一定の地位を築いたが、発信者としての活動は続けていくという。
「地位があるだけでは仕事は得られないでしょ。動いていかないと。3年経てば忘れられるし、5年で『誰?』の世界ですから。もう、僕なんて若い子たちから見ると、誰?でしょ。それは、もう仕方がない。選手をやめたから」
「見られなくなって、忘れられてしまえば、しょうがない。それも自然体なんじゃないですか」。最後も自分の言葉で締めくくった。
上原浩治さんSNS
【Twitter】https://twitter.com/teamuehara
【YouTube】https://www.youtube.com/channel/UCGynN2H7DcNjpN7Qng4dZmg
「雑談魂」アシスタント・上田まりえさんの話 「上原さんは日本でも、アメリカでも、超一流でいらっしゃった。それだけに発信力が大きい方だと思います。お話がお上手なだけではなく、笑いもつけて、オチもつけられるトーク力もあります。アスリートでありタレント的な部分もある。色んな人の心情をおもんばかることもできます。そういうゲストの方の気持ちに寄り添えるところがあるからこそ、雑談ができるのではないでしょうか」
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