岸田首相が向き合う全方位外交のインド ロシア離れを迫れるか
ロシアのウクライナ侵攻で国際秩序が揺らぐなか、岸田文雄首相は19日にインドを訪問し、モディ首相と会談する。旧ソ連時代からロシアと友好関係を結ぶインドに対し、日本は「ロシア離れ」を説得できるのか。軍事・経済面で影響力を拡大させる中国に対し、日印はどう対応するか。首脳会談の意義やそれぞれの思惑を、日印両国の専門家に聞いた。
岐阜女子大学客員教授 堀本武功氏
――ロシアのウクライナ侵攻をめぐり、各国の対応が注目される中での日印首脳会談の開催です。
ロシアへの非難を続ける日本と、ロシアと歴史的に関係が深いインドで、この問題に対する立場は大きく異なります。
日本は長年にわたって日米同盟を基盤とした外交・安全保障政策を掲げてきました。ルールに基づく国際秩序を築き、地域の安定と繁栄の促進を目指す「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」構想や日米豪印の安全保障対話(クアッド)を推進しています。
一方のインドは、非同盟・全方位外交を続け、悪く言えば八方美人的な政策を取る傾向にあります。FOIPの構想に賛同し、日本の投資や日本企業の進出は歓迎していますが、武器の多くをロシアからの輸入に頼っています。
このため、インドのモディ政権はロシア・ウクライナ双方に「外交上の交渉と対話をすべきだ」と呼びかけ、国連で議論されたロシアへの非難決議でも棄権に回りました。インドがロシアを名指しするような非難を表明するのは難しいでしょう。
――インドも参加するクアッドは、ロシアへの圧力を強める場として機能するのでしょうか?
クアッドは、軍事・経済的な…
- 【視点】
日本は大国だからとアジアのある国の首脳が地域の安定の話をしようとしても、日本の首相は二国間の話をしてしまう…日本の元外務省幹部が私にそう嘆いたことがあります。歴代最長だった安倍内閣でコロナ禍の前にロシアやインドとあれだけ首脳会談を重ね、中国
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