侵攻であふれる偽情報、あなたもプロパガンダに加担? 見極めるには
戦争はインターネット空間でも情報戦という形で繰り広げられます。ロシアによるウクライナ侵攻でも、ネット上には偽情報や不確かな情報があふれ、その扱い次第では私たちも「利用」される可能性がある――。情報リテラシーに詳しい法政大学の坂本旬教授(63)はそう警鐘を鳴らします。正しい情報を見極める大切さと、そのために何を心がけるべきかを聞きました。
――ウクライナでの戦争の情報を、私たちが正確に知ることにはどのような重要性があるのでしょうか?
戦争になると、情報戦になります。日本にいても知らず知らずのうちに各国のプロパガンダに加担してしまうことが大いにありえるのです。特にSNSの情報は出典が不明なことも多く、投稿者が信頼できるか判断するのも難しい。慎重に吟味しなければいけません。
元々、ネット上には無数の偽情報や不確かな情報が出回っています。戦争になると、それらの偽情報やプロパガンダの数が非常に多くなります。どの国も国内世論を操作するためだけでなく、自国にとって都合の良い「物の見方」を国際的なものにしようとするんです。
一方で私たちも情報を得ようと普段よりSNSなどを見ますよね。戦争は人間の感情を大きく揺さぶります。ネット上には心を動かすような映像がたくさん流れるわけですが、そうすると、多くの人が「ウクライナで何が起きているんだ」「本当のことを知りたい」といや応なく思い、自分で情報を探そうとします。今は翻訳ツールがあるので言語の壁も高くありません。
「比べる時点でだまされている」
――情報を得ようとする動機が強まるわけですね。日本にいてもプロパガンダに加担してしまうことはありえるのでしょうか?
あります。ロシア国営メディア「スプートニク」を例にとりましょう。(この取材の)2時間前に「ロシアとの国境付近でウクライナが生物兵器を開発、米国防総省が資金援助」という「ニュース」を日本語でツイートしています。戦争当事者のロシア国防省の話で、とても怪しい情報なのですが、それをすでに80人がリツイートしています。
記事の後半では、坂本教授が情報の信頼度を見極めている方法や、私たちも身近なツールを使って自分で調べられる方法について聞きます。
――ロシア側の主張も知らなければとバランスを取ろうとしている人もいるのではないでしょうか?
それが狙いなんです。BBC…
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